那智詣の案内

熊野は本州の最南端の地であり、太平洋の黒潮海流により気候は温暖にして山は重畳と連なり、山紫水明の景勝の地であります。古代より、神の国、常世の国、美し国として栄え、ここに熊野三山「熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社」が鎮座したことが「帝王編年紀」「扶桑略記」「水鏡」などに著わされております。古く「古事記」「日本書紀」には、国生み神話とともに、イザナギ・イザナミ・スサノオをはじめ多くの神々が熊野を舞台にしており、神武東征神話にも意義深いものがあります。

熊野は、古代から大和、出雲と共に栄えた地であり今にして未知の世界でもあります。熊野には自然を畏敬した古代山岳信仰が始まり、仏教の伝来により密教思想が山岳信仰と合致し、神仏習合の世界が開け永くその伝統が続いたものであります。

この神仏習合の信仰は、平安初期に熊野別当が認められ熊野は聖域として朝廷からも敬われることになりました。このようなことを熊野比丘・比丘尼・修験者達が全国に熊野信仰と共に広め、慈愛の精神文化は人々を熊野詣でへと駆り立てたのです。

那智とは、この地方の方言で「ナグチ」とか「ナギタ」など、山の入り口といったことから出たといわれています。